
どうもこんにちは。戦術トレードラボのラボ長です。
第10話では、同じEA・同じ1年でも、使う過去データが違うだけで成績が変わってしまう話を書きました。
過去データでできる確かめ方は、ほとんどやり尽くしました。残るのは、ひとつだけです。
これから動く相場で、実際にEAを動かしてみること。
今回は、Claude Codeと一緒に自作したEAを、ついに実際の相場で動かし始めた話です。
兼業トレーダーの私が、自分の手法(ダウ理論ベース)をMT4のEAにすると決めてから、ずっと目指してきた場所でした。
……なのに、最初のエントリーから、バックテストでは一度も見たことのないことが起きました。
この連載は、今回でひと区切りです。
バックテストの次は、フォワードテスト
EA自作やFX自動売買をこれから始める方向けに、少しだけ説明させてください。
- バックテスト:過去データの上でEAを動かして、成績を確かめること
- フォワードテスト:これから動く実際の相場でEAを動かして、確かめること
バックテストは、何度も試して一番いい結果を選べば、それらしい数字をいくらでも作れてしまいます(第4話で散々騙されました)。
フォワードテストには、それができません。まだ誰も見ていない相場だからです。
動かすのは、第8話から育ててきた、天井・底の形で入るEA。1時間足のチャートで動きます。
同じ口座で、同じEAが2つ動いた90秒
EAをチャートに付けて、自動売買をオン。
それでも、開発は終わりではありません。私はAIにこう伝えました。
「自動売買中だから、止めずに開発進めたい」
そこでAIが用意したのが、テスト専用のMT4です。動いているMT4はそのままにして、試作やバックテストはもう1台でやる。
ところが、テスト用のMT4は、動いているMT4をまるごとコピーして作ったもの。
コピーの中に、チャートにEAが付いたままの設定まで入っていて、しかも同じ口座にログインしていました。
その結果、同じ口座で同じEAが2つ動く状態が、90秒間。
幸い注文は出ておらず、AIがすぐに気づいて、テスト用のMT4ではEAが自動売買できないように直しました。
MT4を2台使う方は、コピーした側にEAが付いたままになっていないか、必ず確かめてください。
最初のエントリーは、注文の一部しか入っていなかった
そして、最初のエントリー。
EAは形ができたところで、ちゃんと自分で買い注文を出しました。ところが、口座を見た私は首をかしげます。
「なんで、0.03ロットしかエントリーされてないんやろ?」
私のEAは、1回のエントリーをいくつかに分けて注文します(第8話で書いた、分割で利益を確定していく考え方です)。
それなのに、入っていたのは最初の1つだけでした。
AIに記録を調べてもらうと、原因は証券会社の側にありました。
EAがほんの一瞬の間隔で続けて送った注文に、証券会社のサーバーが「リクエストが多すぎます(Too many requests)」と返して、残りを断っていたんです。
EAの「断られたらやり直す」仕組みは、このエラーをやり直しの対象に入れていませんでした。
バックテストでは、絶対に起きないことです。 過去データの上では、注文が断られることはありません。
直し方はシンプルで、「注文の間を少し空ける」「断られたら少し待ってやり直す」「あきらめたら記録に残す」。
「そしたら再送やな」
私がMT4を閉じ、AIが直したEAを入れ直しました。立ち上げ直しても、EAは持っていたポジションをちゃんと引き継いでいました。
その1つだけ入った注文は、最初の利確の位置で決済。小さな小さなプラスが、実際の相場での初めての勝ちです。
「EX4いれるってどういうこと?」
動き始めてすぐ、私はAIに聞きました。「これって複利きいてる?」
答えは、きいていない。それまでの数字は全部、毎回同じ量で取引した場合のものでした。
「今後、あなたとのプランが終了したあと、ロット増やしたりしたくなったらどうしよう」
AIのプランは、ずっと続くとは限りません。そこでAIは、1枚の運用まとめと、EAの中に日本語の運用メモを用意してくれました。何を触ってよくて、何を触ってはいけないか。未来の自分のための説明書です。
こうして、損切りの置き方と、ロットの決め方(複利)の2つだけを変えた新しい版に、私が自分の手で入れ替えることに。
ここで、非エンジニアの私がつまずきました。
「EX4いれるってどういうこと?」
MT4のEAには、人間が読める文章の .mq4 と、それをMT4が動かせる形にした .ex4 があります。MT4に入れるのは、.ex4を1つコピーするだけ。分かれば一瞬ですが、最初はそこが分からないんです。
入れ替えのとき、AIが記録からもうひとつ見つけました。
それまでEAが付いていたチャートが、計画していた通貨ペアとずれていた。検証していない通貨ペアにも、私がEAを付けていたんです。
さっきの初めての勝ちも、実はその通貨ペアでした。現場は、計画どおりにいきません。笑
「OK、やったよーちゃんとなってる?」
AIが、動いているMT4の記録を読むだけで確かめ、5つの通貨ペアで動く第2ラウンドが始まりました。
待つ、待つ、まだ待つ
私のEAは、形ができるまでじっと待つタイプです。バックテスト(過去データ)でも、5つの通貨ペアを合わせて月に8回弱しかエントリーしません。
「そうだけど全くエントリーないからさ、検証もできないしつまらない。でもパソコンつけとかなきゃいけない。今は。」
損切りと利確の注文は証券会社のサーバーに置いてあるので、パソコンを切っても働きます。
でも「利益が乗ったら損切りを建値に動かす」のはEAの仕事なので、パソコンを切れません。兼業トレーダーには地味に大きい問題で、AIからはいずれVPS(24時間動くレンタルのパソコン)を使う話も出ています。
そして、新しい版での最初のエントリー。
証券会社はこの日も注文を途中で断りましたが、今度はEAが待ってやり直し、数秒のうちに全部入りました。最初に見つけた穴が、ちゃんとふさがっていました。
ただ、このトレードは最初の利確に届く前に向きを変えて、損切り。負けた額は、決めておいた「1回の負けの上限」ほぼどおりでした。
「これは最悪の結果です。EA使えないじゃん」
EAが待っている間も、検証は続けていました。そこで出てきたのが、この連載でいちばん重い結果です。
動かしているEAは、バックテスト(過去データ)で、5つの通貨ペア・6年すべてプラス、72か月のうち51か月がプラス。
平均の利益がゼロからどれだけ離れているかの目安(t値)は4.8。偶然でこうなるのは100万分の1くらい、という数字です。
ところが、この6年より前の時代の過去データで同じEAを動かすと――
- その前の5年:ほぼ横ばい
- さらに前の5年:マイナス
(いずれもバックテスト・過去データ)
「これは最悪の結果です。EA使えないじゃん」
私はそう言いました。「ショックだ」とも。
AIの読みは、「負けるEAではなく、効く時代と効かない時代があるEA」。
「今は効く時代か」を見分ける条件も試しましたが、私が選んだ2つは、どちらも見分けられませんでした。
t値4.8は「この6年では偶然ではない」という意味で、「いつの時代でも通用する」という意味ではなかったんです。
過去データで出せる答えは、ここまで。残りは、これからの相場で確かめるしかありません。EAは、止めずに動かし続けています。
ここまでの成績と、最初の確認ポイント
この記事を書いた時点の、実際の相場での成績です。
| 項目 | 成績 |
|---|---|
| 取引回数 | 2回 |
| 勝ち・負け | 1勝1敗 |
| 勝率 | 50% |
| PF(総利益÷総損失) | 0.03 |
| 合計 | マイナス |
(実際の相場でのフォワードテスト。スワップを除く)
PF 0.03。なかなかひどいです。笑
勝ちは一部しか入らなかった注文の小さな利確、負けは全部入った注文の損切り。この組み合わせなら、こうなります。
そして何より、2回では何も判断できません。
だから今は、成績ではなく、EAが決めたとおりに動いているかを確かめています。
| 確かめたいこと | 今の状態 |
|---|---|
| 分けて入れる注文が、全部入る | 1回目は一部だけ → 直して、2回目は全部入った |
| MT4を立ち上げ直しても、ポジションを引き継ぐ | ○ |
| 最初の利確が、決めた場所で決まる | ○ |
| 負けたときの額が、決めた上限どおり | ○(ほぼ上限どおり) |
| 利益が乗ったら、損切りを建値に動かす | まだ(そこまで伸びたトレードがない) |
次の大きな確認ポイントは、取引が約60回たまったとき。AIが出した目安は「その平均がほぼゼロなら、今は効く時代という見立ては外れ」です。
あわせて、資金のへこみがバックテストで一度も起きていない深さまで来たら、いったん止めて検証と照らし合わせる。この止めて見直す線も、動かす前にAIが提案してくれていました。
今回わかったこと
これからEAを実際の相場で動かす方に向けて、今回の学びをまとめます。
- 最初の数回は、成績より「動き方」を確かめる
注文が断られる、MT4を立ち上げ直す、パソコンを切れない。バックテストでは起きないことが出てきます。 - 開発用と稼働用のMT4は分け、コピーした側にEAが付いていないか確かめる
同じ口座で同じEAが2つ動くのは、本当に怖いです。 - 判断する回数と、止める線は、動かす前に決める
決めておかないと、負けるたびに設定をいじりたくなります。 - 「偶然ではない」と「いつでも通用する」は別もの
t値が高くても、時代が変われば効かないことがあります。 - AIがいなくなった後のために、運用メモを残す
止める線と資金の考え方はドローダウンから必要資金を考えるに、PFなどの見方はEAの成績の見方に、パソコンをつけっぱなしにする問題も含めた向き・不向きは兼業トレーダーが自動売買を選ぶメリットとデメリットにまとめています。私の手法のベースはダウ理論の基本へ。
ここからは、運用日誌で
第1話で「自分の手法をEAにする」と決めてから、生成AIで2回心が折れ、自分の目を言葉にできずに悩み、バックテストに何度も騙されて、ようやくEAが実際の相場で動き始めました。
ただ、まだ何も証明されていません。2回の取引、1勝1敗、合計はマイナス。そして、前の時代では横ばいだったという事実。
このEAが本物かどうかは、これからの相場が決めます。
SNSでは「AIエージェントが勝手に稼ぐEAを作った」という投稿をよく見かけます。私はそれをまだ信じていないので、自分の手で確かめ続けます。
この連載はここでひと区切り。ここからは、週に1回の「運用日誌」で、EAの実際の動きと、裏で続けている開発の話をそのまま書いていきます。
実はEAが待っている間に、もう1つEAを作ろうと何十通りもの入り方を試しては、ほとんど負けています。笑 その話も、運用日誌で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このころのEAの成績
今回は、成績スコアの新しい記録はありません。いまの成績スコアは 0.34(第10話「MT4のEAにした(ポンドドル・1年)」)のままです。詳しい数字は第10話の最後にあります。
関連: ラボ長のEA開発ストーリー / フォワードテスト・運用 / Claude CodeでEAを作る
連載: 第1話 / 第2話 / 第3話 / 第4話 / 第5話 / 第6話 / 第7話 / 第8話 / 第9話 / 第10話
あわせて読みたい: バックテストで騙されないためのチェックリスト
※本ブログの成績はすべて私個人の記録であり、将来の利益を保証するものではありません。バックテストの結果は過去のデータによるものです。投資は自己責任でお願いします。


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