ドローダウンから必要資金を考える|EAの資金管理の基本

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「このEA、いくらから動かせばいいんだろう?」

EAができて、バックテストでプラスが出ると、次に考えるのがお金のことです。
ところが、ここを「なんとなく」で決めると、成績の良いEAでも、途中の落ち込みに耐えられずに止めてしまうことになります。

この記事では、非エンジニアの兼業トレーダーである私が、Claude Codeで自作したEAの必要資金を見積もったときの考え方を、一般的な資金管理の基本と合わせてまとめました。

先に結論を書くと、必要資金は「いくら稼げるか」ではなく「どれだけ減るか」から決めます。


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なぜ「ドローダウン」から考えるのか

ドローダウン(DD)は、資金が一番高かったところから、どれだけ減ったかの幅です。
バックテストのレポートに出てくる「最大ドローダウン」は、その期間で一番大きく減った幅のことです。

必要資金をDDから考える理由は、3つあります。

  1. 減ったお金を取り戻すのは、減った割合より大変
    20%減ると、元に戻すには25%の利益が必要です。50%減ると、100%(2倍)が必要になります。
  2. 人は、落ち込みの途中でEAを止めてしまう
    資金に対してDDが大きすぎると、精神的に耐えられず、回復する前に止めてしまいがちです。一番もったいないパターンです。
  3. バックテストの最大DDは「過去の最大」でしかない
    将来、それより大きなDDが来ることは普通にあります。だから余裕を持たせる必要があります。
資金の減り方元に戻すのに必要な利益
−10%+11.1%
−20%+25%
−30%+42.9%
−50%+100%

必要資金を見積もる4つのステップ

ステップ1:バックテストで「最大DD(金額)」と「最長連敗」を見る

まずは、できるだけ長い期間・細かいデータでバックテストをして、次の2つを確認します。

  • 最大ドローダウン(金額):一番大きく減った幅
  • 最大連敗数:何回続けて負けたか

MT4のレポートでは「最大ドローダウン」「最大連敗(金額)」として出てきます。
テストの精度が低いと、ここがまったく当てになりません(私はこれで何度も騙されました。バックテストで騙されないためのチェックリストにまとめています)。

ステップ2:「1回の負けで失う額」を決める

次に、1回の損切りで資金の何%まで失ってもいいかを決めます。
よく目安として挙げられるのは「1回あたり資金の1〜2%」ですが、これは人それぞれです。大事なのは、自分で決めて、毎回そろえることです。

ロット(取引量)は、この「失ってもいい額」から逆算します。

ロット = 1回で失ってもいい額 ÷(損切りまでの幅 × 1pipsあたりの損益)

たとえば(数字はすべて例です)、資金50万円・1回1%なら、失ってもいい額は5,000円。
損切りまでが50pipsで、1万通貨あたり1pips=100円の通貨ペアなら、1万通貨で50pips負けると5,000円なので、1万通貨になります。
損切りまでが25pipsなら、同じ5,000円で2万通貨です。

こうすると、損切りの幅が広くても狭くても、1回の負けで失う額がそろいます。

ステップ3:連敗を「最長の2倍」くらいまで耐えられるか確かめる

1回のリスクが決まったら、連敗したときに資金がどれだけ減るかを計算します。

  • 1回1%で10連敗 → 約10%減る(複利でロットを減らしていくなら、少しだけ少なく済みます)
  • 1回2%で10連敗 → 約18〜20%減る

バックテストで出た最長連敗は、あくまで過去の記録です。
勝率が低めのEAほど、長い連敗は珍しくありません。最長連敗の2倍くらいが来ても、止めずにいられるかを一度考えておくと安心です。

参考までに、1回の勝率が40%のEAなら、「ある10回が全部負け」になる確率は約0.6%。小さく見えますが、何百回もトレードすれば、どこかで起きてもおかしくない数字です。

ステップ4:最大DDに余裕を足して、必要資金にする

最後に、ステップ1の最大DDに余裕を持たせて、必要資金を決めます。
よく言われる目安は、最大DDの2〜3倍を資金として用意するという考え方です。

必要資金 ≒ 最大DD(金額)× 2〜3 + 取引に必要な証拠金

国内のFX会社の場合、個人の口座はレバレッジの上限が25倍と決まっているので、証拠金も忘れずに確認してください(会社ごとの必要証拠金は公式サイトで確認できます)。

私の実例:最大DD約11万円、最長7連敗、見積もりは60万円

ここからは、私が自分のEAで実際に見積もったときの話です。

私のEAを複数の通貨ペアで6年分バックテストすると、1回の取引量を一定にした条件で、

  • 最大ドローダウン:約11万円
  • 最長連敗:7連敗

でした(バックテスト・過去データ)。
ここから、60万円あれば足りるという見積もりを出しました。最大DDの5倍以上なので、かなり余裕を持たせた数字です。

余裕を多めに取った理由は、2つあります。

  • 6年間ずっと調子が良かったわけではなく、良い時期と悪い時期がはっきりあったこと
  • 私のEAは勝率が高くないタイプで、連敗しやすいこと

もうひとつ、1回のリスクを変えたら最大DDがどう変わるかも試しました。

1回のリスク(資金に対して)最大DD(資金に対して)
0.5%4.0%
1.0%7.8%
2.0%15.1%
3.0%21.9%

(私のEAのバックテスト・過去データ。リスクの数字は比較のための例で、実際の設定ではありません)

1回のリスクを増やすと、DDもほぼ同じように増えていきます。
リスクを上げれば利益は増えますが、その分だけ深い落ち込みも受け入れることになる。当たり前のことですが、表にすると実感がわきます。

固定ロットの落とし穴:同じEAでも、リスクが62倍違った

資金管理で、私が一番びっくりしたのがこれです。

EAを作り始めたころ、私はバックテストを毎回同じロット(固定ロット)で回していました。
ところが、損切りまでの幅はトレードごとにバラバラです。狭いときもあれば、広いときもある。

調べてもらうと、1回のトレードで失う可能性のある額に、最大62倍の差がありました。
つまり、たまたま損切りの幅が広いトレードで負けると、それだけで成績が大きく崩れる。逆に、狭いトレードでいくら勝っても、たいした額にならない。

リスクをそろえて計算し直したら、ある通貨ペアの1年の成績が、−9万円から約±0に変わりました(バックテスト)。
成績の良し悪しが、手法ではなくロットの決め方で変わっていたわけです。

固定ロットは分かりやすいので、最初のテストには便利です。
ただ、必要資金を考える段階では、「1回で失う額」をそろえて見ることをおすすめします。

必要資金チェックリスト

チェック見るところ
最大DDを「金額」で確認したバックテストのレポート
テストは長い期間・細かいデータか数年以上、モデリング品質の高いデータ
最長連敗を確認したレポートの最大連敗
1回で失う額(資金の何%か)を決めた自分のルールとして固定
ロットを「失う額 ÷ 損切り幅」で決めている固定ロットのままにしていない
最長連敗の2倍が来ても止めずにいられる連敗時の減り方を計算
必要資金は最大DDの2〜3倍以上ある余裕を持たせる
証拠金も足りている会社の必要証拠金・レバレッジ上限
見ていない期間でも最大DDが大きく崩れない別の期間でテスト

よくある質問

Q. 最大DDの2〜3倍って、多すぎませんか?
A. 私も最初はそう思いました。ただ、バックテストの最大DDは「過去一番悪かったとき」でしかありません。将来それを超えることは十分ありえますし、途中で止めてしまうと、せっかくのEAの成績を受け取れません。余裕は「止めないための保険」だと考えています。

Q. 少ない資金で始めたいときは?
A. 資金を減らすのではなく、1回のリスク(ロット)を小さくするのが基本です。ロットを半分にすれば、利益もDDも半分になります。最初はデモ口座や最小ロットで、動きを確かめるところから始めるのがおすすめです。

Q. 複利にした方がいいですか?
A. 「資金の何%」でロットを決めると、資金が増えればロットも増え、減ればロットも減ります。これが複利の形です。増えるときは速く増えますが、危ないのは複利そのものより「1回のリスクの%が大きすぎること」です。私はAIに説明してもらって、ようやく「%は1回の負けで失う額の上限」と理解できました。

Q. 何回くらいのトレードでDDを判断していいですか?
A. 回数が少ないと、最大DDもたまたま小さく出ることがあります。数十回程度では判断しにくいので、できるだけ長い期間でテストして、回数を確保してください。回数と信頼度の関係はEAの成績の見方でも触れています。

まとめ

  • 必要資金は「いくら稼げるか」ではなく、「どれだけ減るか」から決める
  • バックテストで最大DD(金額)と最長連敗を確認する
  • 1回で失う額を決めて、ロットは「失う額 ÷ 損切り幅」で決める
  • 必要資金は最大DDの2〜3倍以上を目安に、余裕を持たせる
  • 固定ロットのままだと、トレードごとのリスクがバラバラになる

私がバックテストの数字に何度も騙された話は、連載の第4話に書いています。
過去の期間に合わせすぎていないかの確認は過剰最適化(カーブフィッティング)とは?もどうぞ。


関連: バックテストと検証 / フォワードテスト・運用
連載: 第4話 / 第6話

※本ブログの内容は私個人の経験にもとづくもので、将来の利益を保証するものではありません。記事中の数字は例、またはバックテスト(過去データ)の結果です。投資は自己責任でお願いします。

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