EAの成績の見方|PF・最大ドローダウン・勝率・リスクリワードを初心者向けに
どうもこんにちは。戦術トレードラボのラボ長です。
EAを作ってバックテストをすると、MT4はずらっと数字の並んだレポートを出してくれます。
純益、プロフィットファクター、ドローダウン、勝率……。
最初の私は、正直「純益がプラスかどうか」しか見ていませんでした。
そして、その数字にわりと簡単に騙されました。
この記事では、これからEAを自作する方やEAを選ぶ方に向けて、成績のどこを、どの順番で見ればいいかをまとめます。
私が実際に引っかかった例も一緒に書いておきます。
なぜ「純益」だけ見てはいけないのか
純益は、すべてのトレードを足し合わせた最後の1行です。
合計だけを見ていると、次のようなことが見えなくなります。
- その利益を出すまでに、途中でどれだけ資金が減ったのか
- 利益がたくさんの小さな勝ちでできているのか、数回の大勝ちだけなのか
- そもそもトレード回数が、判断できるほどあるのか
同じ「+10万円」でも、途中で30万円減ってから戻したEAと、ほとんど減らずに積み上がったEAでは、まったく別物です。
実際に運用すると、途中の減り方に耐えられずに止めてしまうことも多いからです。
1. まず確認:データの精度とトレード回数
数字の中身を見る前に、その数字を信じていい土台があるかを確かめます。
データの精度(モデリング品質)
MT4のバックテストは、手元の過去データから値動きを再現して行います。
データが粗いと、1本のローソク足の中で高値と安値のどちらが先についたか分からず、損切りや利確の順番が実際と変わってしまいます。
MT4のレポートには、この再現の細かさが「モデリング品質」として表示されます。
私は以前、品質36%のまま出た好成績を喜んでいましたが、1分足のデータに入れ替えて品質90%にすると、成績は大きく落ちました(詳しくは連載の第4話で書きます)。
成績の良し悪しより先に、データの精度。これが最初のチェックです。
トレード回数
トレードが10回、20回しかないと、どんな数字もたまたまの可能性が高くなります。
目安としてよく言われるのは最低でも100回、できれば数百回。
回数が少ないEAほど、次に紹介する数字がブレやすくなります。
2. プロフィットファクター(PF):稼ぐ力
PF = 総利益 ÷ 総損失
勝ちトレードの合計を、負けトレードの合計で割った数字です。
| PF | ざっくりした意味 |
|---|---|
| 1.0未満 | 負けている |
| 1.0〜1.2 | ほぼトントン。スプレッドや約定のズレで消えやすい |
| 1.2〜1.5 | 現実的に「優位性がありそう」と言えるライン |
| 2.0以上 | 優秀。ただし回数が少ない・期間が短いなら、まず疑う |
AIに市販のEAを調べてもらったとき、何年も動き続けている有名なEAでもPFは1.1台ということがありました。
長く生き残るEAのPFは、意外と地味です。逆に、バックテストでPF3や4が出たら、喜ぶ前に「どこかおかしくないか」を確かめるくらいでちょうどいいと思います。
3. 最大ドローダウン:耐えられるか
最大ドローダウン = 資金の山から谷まで、一番大きく減った幅
EAを実際に運用できるかどうかは、ここで決まると言ってもいいくらい大事な数字です。
- MT4のレポートでは、金額と%の両方が表示されます
- %で見るとき、初期資金の設定で数字が変わるので、金額でも確認します
- 実運用では、バックテストより大きいドローダウンが来る前提で考えます(よく「バックテストの1.5〜2倍は見ておく」と言われます)
あわせて見たいのがリカバリーファクター(純益 ÷ 最大ドローダウン)です。
「一番へこんだ幅の何倍、稼げているか」。この数字が大きいほど、へこみに対して利益に厚みがあります。
また、最大連敗数も必ず見てください。
数字としてのドローダウンより、「10回連続で負ける」という体験の方が、人の心には効きます。
4. 勝率とリスクリワード:セットで見る
勝率だけを見ても、良いEAかどうかは分かりません。
1回の勝ちと1回の負けの大きさ(リスクリワード)とセットで見ます。
損益がトントンになる勝率は、次の式で出せます。
損益分岐の勝率 = 1 ÷ (1 + リスクリワード)
| 平均利益:平均損失 | トントンになる勝率 |
|---|---|
| 1:1 | 50% |
| 2:1 | 約33% |
| 3:1 | 25% |
| 1:2 | 約67% |
勝率30%でも、勝つときに負けの3倍取れていればプラスです。
逆に、勝率80%でも、たまの負けが勝ちの5倍なら、じわじわ負けていきます。
1回あたりの平均で見た期待値(平均損益)もあわせて確認しましょう。
期待値 = 勝率 × 平均利益 − 負け率 × 平均損失
この値が、スプレッドや約定のズレを引いても残るかどうかがポイントです。
5. 中身のバラつきを見る
ここからは、レポートの1枚目には出てこない部分です。
でも私は、ここで一番騙されました。
- 大勝ちの数回を除いても、プラスが残るか
私は以前、366回試した中から一番良い設定を選んだら、その利益のほとんどがたった3回の大勝ちでできていたことがありました。3回を除くと赤字です(バックテスト)。 - 年ごと・通貨ペアごとに分けても、崩れないか
合計がプラスでも、ある1年だけで稼いでいることがあります。 - 買いと売りで、極端に差がないか
相場がずっと一方向だった期間だと、片方だけが良く見えることがあります。
6. 単位をそろえて比べる
もうひとつ、地味ですが大事なのが単位です。
EAの成績は、pips、R(1回の損失を1とした倍率)、金額、%など、いろいろな単位で表せます。
私はAIとの検証の途中で、Rで見ると「組み合わせると良さそう」に見えた通貨ペアが、円に換算すると、利益は+7%なのにドローダウンは+33%で、むしろ逆効果だったことがありました(バックテスト)。
それ以来、成績の表はすべて円と%で出してもらうようにしています。
比べるときは、同じ単位・同じ期間・同じロットの決め方にそろえるのが基本です。
7. 「偶然じゃないか」を数字で確かめる
トレード回数が少ないのが気になって、AIに「統計的に見て優位なのか、見てくれんかい?」と聞いたことがあります。
そのとき教えてもらったのがt値という考え方でした。ざっくり言うと、「この成績が偶然で出る確率は、どれくらい低いか」を表す数字です。
t値については別の記事で詳しく書く予定ですが、「たまたま」を数字で疑う道具があることだけ、覚えておくと役に立ちます。
見る順番チェックリスト
| 順番 | 見るところ | ひとことチェック |
|---|---|---|
| 1 | データの精度 | MT4ならモデリング品質。粗いデータの好成績は信じない |
| 2 | トレード回数 | 少なすぎないか(最低100回、できれば数百回) |
| 3 | PF | 1.2〜1.5あたりが現実的。高すぎたら疑う |
| 4 | 最大ドローダウン | 金額でも確認。実運用はこの1.5〜2倍を覚悟 |
| 5 | 最大連敗 | その回数、黙って見ていられるか |
| 6 | 勝率とリスクリワード | セットで見る。期待値がコストを引いても残るか |
| 7 | 中身のバラつき | 大勝ち数回を除く・年別・通貨別・買い売り別 |
| 8 | 単位 | 同じ単位・期間・ロットの決め方で比べる |
よくある質問
Q. PFはいくつあれば合格ですか?
A. 決まった合格ラインはありませんが、スプレッドを含めて1.2〜1.5あたりが現実的な目安とよく言われます。数字だけでなく、トレード回数や期間とセットで判断してください。
Q. 勝率が高いEAの方が安心ですか?
A. 勝率が高いほど連敗は起きにくいですが、1回の負けが大きいと、まとめて失うことがあります。勝率は必ずリスクリワードとセットで見てください。
Q. 販売されているEAの成績も、同じ見方でいいですか?
A. 基本は同じです。加えて、そのバックテストがどのデータで行われたか、バックテストではない実際の運用(フォワード)の記録があるかも確認すると安心です。
Q. 固定ロットと複利、どちらで見ればいいですか?
A. EAの実力を比べるなら、まずは固定ロットがおすすめです。複利にすると、後半の成績ほど大きく見えて、どこで稼いだのかが分かりにくくなります。
まとめ
- 純益は最後の1行。途中の減り方と中身を見る
- 数字の前に、データの精度とトレード回数を確認
- PFは地味でいい。高すぎるPFはまず疑う
- 最大ドローダウンと最大連敗で、運用に耐えられるかを考える
- 勝率はリスクリワードとセットで
- 大勝ちの数回を除く・年別に分ける・単位をそろえる
私のバックテストへの騙され方は、連載の第4話でたっぷり書く予定です。
AIでEAを作り始める前に知っておきたいことは、AIでEAを自作する前に知っておきたい5つのことにまとめています。
自分の「目」をAIに伝える苦労は第3話からどうぞ。
関連: バックテストと検証 / はじめてのEA開発
連載: 第1話 / 第2話 / 第3話
※本ブログの内容は私個人の経験にもとづくもので、将来の利益を保証するものではありません。バックテストの結果は過去のデータによるものです。投資は自己責任でお願いします。



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