本線をいったん止めた日と、裁量をやめると決めた理由

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成績スコア推移(バックテスト・過去データ、資金100万円、ドル円)。AIまかせの定番EA 1.77、自分の手法 最初のEA 0.03、粗いデータ(品質36%) 1.89、細かいデータ(品質90%) 0.92、別の期間(2020〜2023) −0.62、1つずつ作り直した(1年) 1.25。
成績スコア=収支÷最大ドローダウン(バックテスト・過去データ)。今回は成績スコアの新しい記録がないので、前回のままです。

どうもこんにちは。戦術トレードラボのラボ長です。

第6話では、AIが良かれと思って足した「改善」が、私の手法を1段ずつ壊していた話を書きました。
そこからは「足すのは1回に1つだけ、足すたびに私の目と合っているかを確かめる」やり方で、EAの判定を私の目にそろえていきます。

今回は、その先で大事にしてきた本線(メインで作ってきたEA)を、いったん止めた話です。
あわせて、第1話で「いずれ」と書いた、裁量トレードをやめると決めた理由も書いておきます。

非エンジニアの兼業トレーダーが、Claude CodeとMT4のEAを自作していると、たぶんどこかでぶつかる壁です。
「自分の目」と「機械の判定」は、どこまでそろえられるのか。


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チャート帳に「違う」を書き込み続ける

このころの作業は、ほとんどがチャート帳とのにらめっこでした。

EAがどの安値を「押し安値」(ここを割ったら上昇は終わり、と見る安値)、どの高値を「戻り高値」と見ているのか。AIがそれをチャートに番号付きで描いた帳面を作り、私がページと番号で返事をします。

「②は押し安値じゃないかなー」
「山谷どこから見てるか分からないけど、小さすぎる」

AIが直して、新しい帳面が届く。また見る。また書き込む。
そのうち、こんな返事も書いていました。

「正直この時点で見る価値なしだが、続けます」

見る価値なし、と書きながら、ちゃんと続けています。笑
上の時間足のトレンドを下の時間足のチャートに描いた帳面には、「上の足のトレンドを下の足で見て決めるの、まじでむり」と返して、上の時間足で描いた帳面を別に作ってもらいました。

同じくらいの大きさなのに、「OK」と「細かすぎる」

困ったのは、私の返事そのものでした。

AIが私の「違う」を集めて並べてみると、同じくらいの大きさの戻りを、あるページでは押し安値と認め、別のページでは「細かすぎる」と言っていたんです。

AIは、私の返事を全部満たす線引きを探しました。値幅で区切る。相場の荒さに合わせて区切る。ローソク足の本数で区切る。
でも、どの線引きでも、あっちのページの「OK」と、こっちのページの「細かすぎる」を、同時に満たすことはできませんでした。
第3話で11通り全滅した「波を測る物差し」は、AIの記録によると、ここで12通り目の失敗。記録は、ちゃんと更新されていました。

しかも、ブレていたのは私のほうでもありました。
「ここを戻り高値に」と言った場所を、あとから「この区間には、戻り高値らしい戻り高値がない」と取り下げる。自分で指定した押し安値を、「なくてもいいよ」と手放す。
AIの記録には、こう残っています。

このページの読み方は、そのあとの値動きまで見たうえで決まっている。その時点で分かる大きさや比率では、再現できない。

第3話で撤回した「後から分かる情報で作った正解」と、同じ落とし穴でした。
目で見るとき、私にはチャートの右側まで見えている。EAには、それが見えません。

目に合わせるほど、EAはトレードしなくなる

それでも、私には仮説がありました。上の時間足と下の時間足の関係を考えれば、今の判定は波を小さく取りすぎているはずだ、と。
AIに試してもらうと、結果は半分だけ当たりでした。

  • 私が「違う」と言った押し安値・戻り高値は、全部消えた
  • トレンドが切り替わる回数も、私が目で数えた回数とほぼ同じになった

ここまでは完璧です。ところが――

1年間のエントリー回数ポンドドルドル円
それまでの細かい読み方18回24回
私の目に合わせた読み方6回2回

(バックテスト・過去データ)

ドル円は、1年で2回。

波を大きく見るほど、EAが入るきっかけそのものが、ほとんど現れなくなっていたんです。

目に合わせれば、回数が消える。
回数を残せば、目と合わない。

目で見る判定と、機械の判定が、両立しない。
このあと何日も、私たちはこの板挟みの中にいました。ヒゲまで見るかどうかのような細かい判定は後回し、「まずは動きを最優先」と決めて。

「探しておいて」と頼んだ夜、ログが410MBになっていた

ここで少し、笑える話を。

AIとの開発では、寝る前にざっくり頼んで、夜のうちに検証を回してもらうことがよくあります。この板挟みの中でも、ある夜こう頼みました。

「今できることで、かんがえうることを仮説検証して、よりよい設定を探しておいて」

ところがこの夜、テストの結果を集める処理が、4時間動き続けても終わらない。

原因は、MT4が1日ごとに書き足していく記録(ログ)のファイルでした。それが1日分で410MB。文字だけの記録で、410MBです。
大きすぎるファイルを読み続けて、処理が終わらなかったんです。夜の検証はいったん止めて、やり直しになりました。

直し方は地味で、テストの前に毎回ログを新しいファイルに切り替えるだけ。AIが、テストのたびに自動でそうする仕組みにしてくれました。
検証が遅い、止まる、というときは、EAの中身だけでなくまわりに溜まっていくファイルも疑ってみてください。

読み方を変えても、エントリーに優位性が出ない

本題に戻って。板挟みを抜けるために、私たちは判定の読み方とエントリーの仕方を次々に変えて試しました。
時間足を1段下げて回数を増やす。下の時間足から上の時間足のトレンドを組み立て直す。私の思いつくエントリーのアイデアを、1つずつ機械にしてみる。

このころ、私はこうも言っています。「半自動にしたいけど、検証が難しい」(半自動については、あとで書きます)。

AIのほうも、なかなかでした。

ある読み方をAIが「良い」と報告してきたので、「良いってどういう意味?損益とエントリーポイントみせて」と聞き返すと、「良い」のは私の言葉とどれだけ合っているかの話。その読み方で売買させると、ポンドドルは損切りをどこに置いてもマイナスでした(バックテスト・過去データ)。

別の場面では、「直しました」と届いた帳面を見て、「治ってないよ。……自分でみた?」と聞くと、AIの答えは「見ていませんでした」。

正直でよろしい。笑
でも第5話から学んできたとおり、確認用のチャートを自分の目で見る工程を飛ばすと、どこかでズレます。AIでも同じでした。

私が「なんか良さげに見える。これで一回エントリー見てみよう」と言えた読み方でも、売買させるとやっぱりダメ。

最後の最後に、1つだけ、ポンドドルとドル円の両方でプラスになった案が出ました。
ただし、2つ合わせて1年で29回。大勝ちの上位3回を除くと、どちらもマイナスです(バックテスト・過去データ)。
第4話で私を騙した、あの壁でした。

AIの記録の結論は、短いものでした。

どの読み方でも、機械的なエントリーに優位性は出ていない。

「一旦ここまで覚えておいて、戻れるようにして」

そして、私はAIにこう伝えました。

「一旦ここまで覚えておいて、戻れるようにして」

本線を、いったん止める。
積み上げてきたEAと検証の道具を、その時点の状態のまま保存して、いつでも戻れる印を付けておく。新しく足した仕組みは、全部「使わない」設定のまま残しました。

捨てたわけではありません。止めただけです。本線のEAは、今もそのときのまま保存してあります。
プログラムの変更はその時点ごとに丸ごと記録できるので、AIに頼めば、いつでもこの状態に戻せます。非エンジニアの方も、この「戻れる印」だけは覚えておいて損はありません。

裁量トレードをやめると決めた理由

第1話の最後に、「この沼の途中で、私は裁量トレードをやめることになる」と書きました。その理由です。

書き出してみると、理由はシンプルでした。

1. 本業を優先する生活の中で、時間と余裕がなくなった
私にとって、本業が第一です。第1話に書いたとおり、考える時間と心の余裕が削られて、トレードが少しずつ雑になっていきました。

2. 手法ではなく、手法を実行する「私」がボトルネックだった

  • ずっとチャートを見ていられないので、押しを待てずに入ってしまう
  • 見ていられるときほど、面倒で逆指値を入れずにそのままにしてしまう
  • 忙しいときは、経済指標の発表を忘れている
  • 形はまだ崩れていないと分かっていたのに、値動きに耐えきれずに手仕舞いしたら、その直後に狙いどおり伸びていった

どれも手法のルールでは「やらない」ことなのに、人間の私がやってしまう。意図しない損失も、けっこう受けてきました。

EAなら、押しを待てる。損切りを入れ忘れない。まだ有効な形を、感情で手放さない。
だから、手法は手放さずに、実行をEAに任せる。「本業は優先したい。でも、トレードは手放したくない」。第1話から、ここは変わっていません。

最初は「完全自動がうまくいかなかったら、半自動にする」つもりでした。自分で線だけ引いておき、そこを抜けたらEAが注文を入れる形です。
ただ、私の目が入るぶん、過去のデータで確かめるのが難しい。今は完全自動を優先して、半自動は保留にしています。

そして今回の本線の話で、あらためて分かったことがあります。
私の目は、チャートの右側まで見えた状態で判断していることがある。裁量のままでは、その判断に本当に優位性があるのかを確かめるのが、とても難しいんです。
EAに任せるなら、機械にできる形で手法を組み直すしかありません。

今回わかったこと

自分の手法をEAにしようとしている方に向けて、今回の学びをまとめます。

  1. 目の判定と機械の判定は、両立しないことがある
    目は、どこを無視するか、チャートの右側まで含めて判断しています。全部を写そうとせず、どこで割り切るかを決める必要があります。
  2. 目に合わせたら、回数も一緒に見る
    目との一致だけを追うと、1年に数回しかトレードしないEAになることがあります。
  3. 「良い」の中身を確かめる
    判定が良いのか、損益が良いのか。AIに「自分で見た?」と聞くのも、意外と効きます。
  4. 行き詰まったら、捨てずに「戻れる地点」を保存して止める
    保存してあれば、止めることは終わりではありません。
  5. テストが止まったら、ログの大きさも疑う
    MT4のログは、放っておくとどんどん膨らみます。

大勝ちの上位3回を除いて確かめるやり方はバックテストで騙されないためのチェックリストに、裁量と自動売買の違いや半自動の考え方は兼業トレーダーが自動売買を選ぶメリットとデメリットにまとめています。

次回は、本線を止めたその日に始めた「番外編」の話です。
脱線のつもりで試した天井・底の形が、やがて本命になっていきます。

このころのEAの成績

今回は、成績スコアの新しい記録はありません。いまの成績スコアは 1.25(第6話「1つずつ作り直した(1年)」)のままです。詳しい数字は第6話の最後にあります。


関連: ラボ長のEA開発ストーリー / 裁量をルールにする / Claude CodeでEAを作る
連載: 第1話 / 第2話 / 第3話 / 第4話 / 第5話 / 第6話
あわせて読みたい: 兼業トレーダーが自動売買を選ぶメリットとデメリット

※本ブログの成績はすべて私個人の記録であり、将来の利益を保証するものではありません。バックテストの結果は過去のデータによるものです。投資は自己責任でお願いします。

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