どうもこんにちは。戦術トレードラボのラボ長です。
EAを作っていて成績がよくならないとき、多くの人が最初に直すのは「どこで入るか」だと思います。
私もそうでした。条件を足したり、入るタイミングを早めたり、遅らせたり。
でも、AIエージェントのClaude Codeと一緒に自分の手法をEAにしていく中で分かったのは、本当に効いていたのは「どこで出るか」だった、ということです。
この記事では、これからEA作りやFX自動売買を始める方に向けて、損切りと利確、つまり「出口」の考え方をまとめます。
私自身の失敗と、検証で分かったことも一緒に紹介します。
なぜ出口が大事なのか
トレードの成績は、ざっくり言うと次の3つで決まります。
- 勝つ回数の割合(勝率)
- 勝ったときに取れる幅
- 負けたときに失う幅
このうち、エントリーで変えられるのは主に勝率です。
取れる幅と失う幅を決めているのは、出口です。
そして、勝率と「取れる幅÷失う幅」(リスクリワード)には、トントンになる組み合わせがあります。
| 取れる幅 ÷ 失う幅 | トントンになる勝率 |
|---|---|
| 0.5倍 | 約67% |
| 1倍 | 50% |
| 2倍 | 約33% |
| 3倍 | 25% |
(スプレッドなどのコストを除いた、一般的な計算です)
勝率が高くても、取れる幅が小さければ負けます。勝率が低くても、取れる幅が大きければ勝てます。
エントリーで勝率を数%上げるより、出口で釣り合いを変えるほうが、成績に大きく効くことがあるのは、このためです。
私の実例:「よくならない最大の原因、なんだと思う?」
天井・底の形でEAを作り直していたときのことです。
形の見分け方は、AIとやりとりするうちに、だんだん私の目に近づいていきました。
それなのに、1回のトレードあたりの成績が、ほとんど良くならない(バックテスト・過去データ)。
私はAIに聞きました。
「よくならない最大の原因なんだと思う?」
AIはエントリーしたあとの値動きをまとめて調べて、こう答えました。
原因は、形の見分け方でも、入る場所でもない。損切りと利確の釣り合いだ。
損切りは、形が崩れたら負け、というところに置いていました。だから失う幅は大きくなる。
それに対して、勝ったときに取れている幅が小さすぎたんです。
そこで、もっと早く入って損切りを小さくする案をいくつか試しました。
結果はどれもダメ。損切りを小さくした分、エントリー後の揺り戻しで振り落とされるだけでした。
数字が上がったのは、勝ったトレードをもっと伸ばしたときだけ。それも、伸ばしすぎると今度は減っていきました。
この話は、連載の第8話に詳しく書いています。
出口の考え方 5つのポイント
1. 損切りは「シナリオが崩れる場所」に置く
損切りの置き方には、大きく分けて次のようなものがあります。
- 決まった幅(例:何pips)
- 値動きの大きさに合わせる(ATRなど、最近の平均的な値幅を使う)
- チャートの形に合わせる(直近の高値・安値の外など)
どれが正解ということはありませんが、大事なのは、「ここまで来たら、自分の読みは外れた」と言える場所に置くことです。
近すぎると、ただの揺れで刈られます。
ただし、「遠いほど安全」でもありません。
私は一度、「安全そうに見える、より遠い高値の外に損切りを置く」案を試してもらいました。
結果は、損切り幅が広がった分だけ利益が減って、かえって成績が悪くなりました(バックテスト・過去データ)。
思わず「かなり意外」と口に出ました。
2. 利確は「伸びたトレード」を逃さない設計にする
検証してみると、私のEAの利益の大半は、最初の利確までしばらく待たされたトレードから生まれていました。
すぐに利確していたら、その大事なトレードを途中で手放していたことになります。
利確を早くすると、勝率は上がります。気分もいい。
でも、上の表のとおり、取れる幅が小さくなれば、必要な勝率はどんどん上がっていきます。
3. 分割決済と建値移動は「回数」と「合計」の綱引き
「確実に利益を残していこう」
これは、私がAIに出した方針です。ポジションを分けて、伸びたところで少しずつ利確し、途中で損切りを建値(入った値段)に移す、というやり方です。
ところが、分け方をいろいろ試すと、どの案でも同じことが起きました。
- プラスで終わる回数を増やすと、合計の利益が減る
- 合計の利益を増やすと、プラスで終わる回数が減る
AIの記録の言葉を借りると、「分け方をどう変えても、2つのあいだでお金が移るだけ」。
最後は、合計を少しだけ譲って、プラスで終わる回数を増やす形を選びました。
兼業で続けていくには、気持ちが折れにくいことも大事だと考えたからです。
4. 「途中で見切る」仕組みは、だいたい負ける
裁量のころの私は、まだ形は崩れていないのに、含み損に耐えきれず手仕舞いしてしまうことがよくありました。
EAなら、そこを機械的にできるのでは。そう思って、いろいろ試してもらいました。
- 一定の時間がたったら決済する
- 含み損がある程度になったら早めに切る
- 損切りに届いたら、反対に入り直す(ドテン)
結果は、どれもマイナスか、コイン投げと同じでした(バックテスト・過去データ)。
エントリーのあとにいったん逆に動くのは、ほとんどのトレードで起きる普通の押し戻りだったんです。
待つことそのものが、利益の源になっていた、ということでした。
5. 1回を救うルールは、どこかの1回を犠牲にする
帳面を見ていると、どうしても納得できないトレードがあります。
私の場合は、しっかり利益が乗ったのに、最後は最初の損切りまで戻されたトレードでした。
「これが損切で終わるのが納得いかない」
AIは、こういうトレードを救う仕組みを試してくれました。
そのトレードは救えました。そして、大きく伸びるはずだった別のトレードを、途中で止めてしまっていました。
目の前の1回を救いたい気持ちは、トレーダーとして自然なものです。
でも、そのルールを入れるかどうかは、全体の数字で決めるしかありません。
出口を見直すときに使える「最大含み益・最大含み損」
出口を考えるときにおすすめなのが、トレードごとに次の2つを記録してもらうことです。
- 最大含み益:そのトレード中に、一番利益が乗ったときの幅
- 最大含み損:そのトレード中に、一番逆に行ったときの幅
これを並べると、
- 勝ちトレードでも、いったんどれくらい逆に行くのか(損切りが近すぎないか)
- 負けトレードでも、いったんどれくらい利益が乗っていたのか(利確や建値移動の余地)
が見えてきます。
AIに「全トレードの最大含み益と最大含み損を表にして」と頼めば、すぐに作ってくれます。
チェックリスト
- [ ] 自分のEAの「取れる幅÷失う幅」と、トントンになる勝率を計算した
- [ ] 損切りは「読みが外れた」と言える場所に置いている
- [ ] 損切りを遠くした場合・近くした場合の両方を試した
- [ ] 利益の大半が、どんなトレードから来ているかを確かめた
- [ ] 分割決済や建値移動で、回数と合計のどちらを優先するか決めた
- [ ] 時間での決済や途中で見切る仕組みは、入れる前にバックテストで確かめた
- [ ] 1回のトレードを救うルールが、全体の成績を落としていないか確認した
- [ ] 調整した出口を、作るときに見ていない期間でも確かめた
最後の項目は大事です。出口も、細かく合わせるほど過去のデータにぴったりになっていきます。
よくある質問
Q. 勝率が高いEAのほうがいいのでは?
A. 勝率が高いと安心感はあります。ただ、取れる幅が小さければ、少しの負けで利益が消えます。勝率は、取れる幅と失う幅とセットで見てください。
Q. トレーリングストップは使ったほうがいい?
A. 値動きに合わせて損切りを追いかける仕組みで、伸びるトレードを残しやすい方法のひとつです。ただ、追いかけ方が近すぎると、普通の押し戻りで決済されてしまいます。私の「途中で見切る」検証と同じで、入れる前に必ずバックテストで比べるのがおすすめです。
Q. 裁量のときの出口を、そのままEAにすればいい?
A. 裁量の出口には、そのときの気持ちが混ざっていることが多いです。私も、耐えきれずに手仕舞いしていたクセがありました。EAにするときは、「本当はどこで出たかったか」を、チャートに番号を振って1件ずつ確かめるのがおすすめです。
まとめ
- 成績を決めるのは勝率だけではない。取れる幅と失う幅を決めるのは出口
- 損切りは「読みが外れた場所」に。遠ければ安全、でもない
- 利益は、待たされたトレードから生まれることがある
- 分割決済と建値移動は、回数と合計の綱引き
- 途中で見切る仕組みや、1回を救うルールは、入れる前に全体の数字で確かめる
勝率やPF、最大ドローダウンなど成績の見方はEAの成績の見方に、細かく合わせすぎる危うさはバックテストで騙されないためのチェックリストにまとめています。
1つ直すと別の何かが壊れる話は、連載の第6話「直すたびに、どこかが壊れる」もどうぞ。
関連: はじめてのEA開発 / 裁量をルールにする
連載: 第6話 / 第7話 / 第8話
※本ブログの内容は私個人の経験にもとづくもので、将来の利益を保証するものではありません。バックテストの結果は過去のデータによるものです。投資は自己責任でお願いします。
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